木住野佳子Trio -- "You Are So Beautiful"
「繊細で配慮の行き届いた、フェミニンな表現の中に秘められた力強さを・・・・」なんてクサいコピーが浮かんできそうな、木住野佳子の人気アルバムだ。一体、「フェミニンな」とか「女性らしい」だとかいうのは何を意味して持ち出される形容詞なのだろう?・・・そんなことを考えながら、ボクは3曲目の "Autumn Leaves" を聴いていた。
テーマが終わる 1:40 あたりから、ざわざわとしたアドリブの殺気が漂い始める。・・・いや、正確には違う!枯葉というつくりあげられた「晩秋のパリ」的イメージを条件反射的に引き出すマジカルな旋律にマスクされて、木住野が最初から握りしめていた「拳」に気付かなかっただけなのだ。予兆の音もキャッチしなければ一曲をちゃんと聴いたとは言えないね。
ボクはふと、昨夜観た映画「あしたのジョー」の一シーンを思い浮かべた。物語のなかで重要な役目を果たす白木葉子が、いきがる矢吹丈に向かってこう言い捨てる。
「女には女の拳があるのよ・・・」
レトリックを剥ぎ取ると、女だからといって馬鹿にしないでよ!という文脈なのだが、「拳」はこのストーリーの中で最もよく出てくるキーワードでもある。
”You are so beautiful" というアルバムのテーマは決して「拳」ではない。むしろ正反対に、フェミニンな(依然意味不明・・・)アルバムとしてCDショップの陳列棚に ソー、ビューティフルに並んでいなければならないのだろう。しかし、多少なりと音楽を聴く者は、このアルバムの中のいたる所で、握られた「拳」が、隠し絵のように埋めこまれていることに気付くべきだと思う。
木住野佳子の「拳」に殴られながら、それをヘラヘラと受け入れているボクが、朝の食卓でトーストをかじっている。オカンにはそれが気に食わなかったのだろう。10曲目の "Easy to Love" の最後の盛り上がり直前に、CDプレーヤーのストップボタンを押されてしまった。
まあいい・・・今夜一人の部屋で、また彼女の拳を受けることにしよう。
Kishino Yoshiko Trio -- "You Are So Beautiful",
1999, GRP
Kishino Yoshiko (pf)
Mitsuaki Furuno, Daiki Yasukagawa (b)
Yasushi Ichikawa, Tappi Iwase (ds)
- 2011.11.20 Sunday
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”Boss Horn" や "The Thing To Do"といった BLUENOTE 盤も素晴らしいが、個人的には初期の RIVERSIDE のものが気に入った。
McCoy Tyner は言わば Coltrane の後継者とも言うべき人物。譲れない彼一流の歌心を残しつつも、スピリチャルで求道的とも言えるアルバムを次々と世に送り出してきたアーティストでもある。
「ひろみちゃんがグラミー賞取ったわよ」

奇跡はまだ続く・・・・
Jackie McLean の比較的ありふれた一枚の盤を紹介するのに、これだけ前置きするのか?!という御批判覚悟で書いてきたが、実際、この盤こそが「今朝の一枚」だったのだ。正直なところ、昨日起きたある出来ごとでボクはかなり滅入っていたし、コーヒーを飲んだらもう一度寝床に coming ba〜ck! っていうような気分だったのだが、何だかJackie のアルトの音に身を任せていたら、お腹の底が熱くなってきた。そしてそこからむくむくと元気が立ち昇ってきた。

